営業力強化のポイント1 『ストーリーを描く』

私は、総合電機メーカーの営業マンである。
メーカーの営業というと、家電量販店に毎日毎日足しげく通って、商品の受発注処理を行ったり、カタログを届けたりといった、いわゆる「ルート営業」のイメージが強いと思うが、私が所属しているのは法人向けの業務用商品の新規開拓営業を行っている部署である。
その営業範囲は新規顧客の開拓営業から、既存顧客への継続営業から、代理店などの販売チャネルの構築・育成から、多岐にわたる。
これまでの営業経験から、営業力を高めるための自分なりのポイントをシリーズに渡って紹介していきたい。実際に営業をしている方も、そうでない方も、参考にしていただいて日々の仕事の中で活用していただきたい。
【営業力とは、ゴールへのストーリーを描く力】
営業をする上で非常に重要なのは、具体的なゴールへのストーリーを持つことである。営業力とは、ゴールへのストーリーを描く力と言っても過言ではない。
例えて言うならば、将棋で先の手を読む力である。将棋のプロは、「自分がこうしたら、相手がこうしてくるから、次に自分がこうして、それに対して相手がこうして、、、」と将棋の手を何十手も先に読みながら試合を繰り広げるらしい。我々凡人には何十手先を読むということが、およそ本当に行われていることだとは信じがたいが、営業でも同じことが言える。
「自分がこういう行動をしたら、相手はこういう対応なり回答をしてくれるだろう」
「それをもとに次にこの人にこういう依頼をお願いして」
「その結果を経てからこういう風に提案すれば、おそらくあの人は自分の商品を買ってくれるだろう」
こんな風に、最終のゴールまでのストーリーを自分で描いて、そのストーリーを具体的に実行に落とし込んでいくことが営業の醍醐味である。
そう考えると営業力とは、「現実的なストーリーを描ける力」と、「描いたストーリーを実行する力」ということになる。
当然のことだが、いくらストーリーを立てて何手先まで読んだとしても、実際にはそのストーリーが全く現実からかけ離れていてはうまく行かない。いくらやってもそのストーリーどおりに話が進まないのであれば、そもそもそのストーリーはリーズナブルとは言えず、むしろゴールへたどり着くことを阻害する要因でしかない。
一方、いくらすばらしいストーリーを描いたとしても、そのストーリー通りに物事や人を動かしていく実行力を持たなければ、やはり営業はうまく行かない。
だから、両方必要なのだ。
とはいうものの、ダメな営業マンの多くは、前者の力が無いことに起因することが多い。どうやったらお客に商品を買ってもらうことができるのか、どうやったら売上を上げることができるのか、それを戦略的に描く力が無いのだ。
考えてみてもらえば分かると思うが、「こうこう、こうやったらできるよ」とやり方を教えてもらってできない人はあまりいない。大概の場合、ストーリーさえ描ければ、何とか実行してゴールまでたどり着くことができる。ただ、多くの人はそれができないのは、戦略的に狙って「取りに行く」ということができないからだ。
【ストーリーを描く力を身につければあらゆる実現力が高まる】
この「ストーリーを描く力」というのは、決して営業という仕事に特有の特殊な力では決してない。みなさんが、どんな仕事をしていても、さまざまな利害関係者を動かして物事を推進していく上では、必要不可欠な力である。
企画の仕事であっても、その企画を通すためには、まずはこの人を落として、次にこの部署の人たちに企画の優位性を理解してもらって、その部署で成果を上げて、全体に広げていって、、、と、ゴールに導くためのストーリーを描くことが大切である。
この力は、決して一朝一夕で得られるものではない。さまざまな経験を積み、そこから得たさまざまな知見をもとに得られる力である。ただ、だからと言って漫然と過ごしていては、一生かかっても決して身につけることはできない。物事に取り組むときに、常に意識的にゴールまでのストーリーを描き、そのストーリーに基づいて試行錯誤することが極めて大切である。
営業に携わる人も、そうでない人も、「ストーリーを描く」ということを意識して自らの営業力を高めて行ってもらいたい。
◆著者紹介
三島 正寛 (みしま まさひろ)
総合電機メーカーにて営業企画を経験後、企画部門のあり方に限界を感じ、自ら志願して現場の営業に異動。新規商品の事業拡大・販路開拓の営業に従事。2年間で多大な実績を残し、事業拡大に大きく貢献する。
現在、FRIの副代表理事。FRIがNPO法人化する以前から組織の運営参画し、早4年になる。今後、ますますFRIという組織を拡大・成長させるために代表の清水とともに日々奮闘中。
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