プロフェッショナルな仕事とそうでない仕事の違い

先日、時間を毎日自由に使いたいからプロフェッショナルになりたい、という話を聞いた。それ自体は、間違っていないが、私はどうしても違和感を拭えなかった。それはなぜだろうか?
少し考えてみると、プロフェッショナルの仕事の本質を勘違いしているからだ、という事に気がついた。では、プロフェッショナルな仕事とはどういうものなのだろうか。
例えば、企画系の仕事は、プロフェッショナルな仕事でなくてはならない。
なぜなら、「答えがない」仕事であるため、その価値については、自己評価できなければならないし、○名分処理をする、というようなものではなく、期日までに企画案という「成果を出す」仕事だからである。
しかし、企画を担うものが企画だけしていたら、それは単なる企画屋で、実業においては、使い物にならない。企画担当者の責務は、その「実行」と実行した「結果」に対しても求められるものだし、そうでなくては、企画の仕事はするべきではないだろう。それがプロフェッショナルな仕事というものだ。
また、今、ある企業の管理部門改革の仕事に携わっているが、ご存知の通り、管理部門の仕事、例えば、経理や人事などは、かなりの部分がオペレーショナルな仕事となっている。いわゆる、プロフェッショナルな仕事の対極にあるものだ。
そこで、色々と議論をしていると、必ず「忙しくて(業務を変えるための)検討すらできない」という事を話す人がいる。
私は、コンサルティング会社出身(最初の会社)であるが、一時期、月300時間労働が続くようなハードワークな環境を経験しているので、たかだか200時間前後で何を言っているのだろうと、ついつい思ってしまったのだが、その人達の指す「忙しい」と、私が考える「忙しい」が、そもそも異なるのではないか、と思うようになってきた。
つまり、仕事で求められるものが違う以上、そこから発生する「忙しい」も違う、という事だ。
プロフェッショナルな仕事は、「決められた期日まで」に「相手が納得する品質・規模で」成果をあげる事が求められる。つまり、途中でどれだけ徹夜が続くような忙しさであろうと、早めに仕事を切り上げてジムに行ったり、お昼にカフェで思索にふけったりしようと、最後の成果を担保するために、定常的に「忙しい」訳ではないが、ある一定期間において、脳が汗をかくようなハイプレッシャーの中での突発的な忙しさ、を乗り切る必要がある。
それに対して、それ以外の特にオペレーショナルな仕事は、毎日毎日、あるいは、毎月決まった日に、いつも同じ程度の忙しさが、長い期間にわたって繰り返しやってくる。
つまり、ピークの高さは低くても、何度も続く「忙しさ」なのである。
前者が一瞬の瞬発力(のみ)を問われる短距離走、後者が持久力を問われるマラソン、というところだろう。
マラソンは、その中でのペース配分が重要視されるが、短距離走においては、スタートからの一瞬の時間の全動作が洗練されている事が求められる。
もし、プロフェッショナルな仕事で身を立てたければ、この一瞬の瞬発力を発揮し、何よりも最優先で臨む期間がある、という事を覚悟しなければならない。そうでなければ、成果など出せないからだ。だからこそ、その成果を出すまでの期間の時間の使い方は、プロに任されるのである。
私は、仕事以外の何かを常に優先したいのであれば、プロフェッショナルな仕事には就かない方が良いと感じている。仕事バカになれとは言わないが、実際、会社以外の場所でも、仕事のヒントがないか、常に考え続けているからだ。
それは、風呂に浸かっていても、カフェでラテを飲んでいても、通勤中でも、趣味に時間を費やしていても、河原で空を眺めていても、そうなのである。それほど、プロフェッショナルな仕事は、ハイプレッシャーなのであり、頭から離れないのだ。
誰しもが、プロフェッショナルになる必要はないと思う。それはある意味、生き方すら変えなければならないからだ。それでも、やりたい、やらなければならない、と思う人が、その重い責任を背負って戦うような代物であろう。
私は、そこに更に一歩踏み出す事を後悔はしないが、誰もが踏み出す領域でもないと感じている。
それに、オペレーショナルな仕事も、きっちり真面目にやり切るのは、相当大変な事だと思うし、価値は高いと思っている。そもそも、オペレーションをやり切れる人も、私はそれ程多くは知らないくらいだ。そこにチャレンジする事も価値ある人生だと思うし、それも追求すればプロフェッショナルな仕事になるだろう。
ただ、もし、企画やリーダーなどのプロフェッショナルな仕事に就きたいならば、まずは、自分にそれだけの覚悟があるかを問うべきだ。そうでなければ、より多く、また、より深く、周りの人達に迷惑をかけるだけであろう。「いつも忙しい」と言っていられる世界では、少なくともないのである。
無いものねだりだけはしたくないものだ。
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◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates 理事長。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後、自らの関わり方に疑問を持ちベンチャー企業に転進。経験を活かし、経営企画・事業企画・商品企画・営業企画など様々な企画業務、数十名規模のライン管理職、業務・会計・人事などの各種改革業務などを担い、業績拡大を支える。また、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに責任者として従事する。実践的なアプローチにより実績多数。現在はIT・ライフサイエンス系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革、大手企業の機構改革などにあたる。
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