なぜ、人の「成長スピード」に大きな差が生まれるのか

盆や正月に帰省したり、昔の会社の仲間と会ったり、あるいは、FRIなどの関係でご無沙汰していた人に会ったりすると、全くわからないくらい良い意味で変わっている人と、ほとんど変わらない人がいる。そんな経験は皆さんにもないだろうか。同じ期間でも、ここまで成長のスピードが違うのか、と驚く事すらある。
では、なぜ人はそれほど成長速度に差が出るのだろうか。
【人が成長するタイミング】
人は、単純化すると、成長するタイミングというのは、ほぼ一つに集約される。
「本当に?」と思うかもしれないが、言われれば納得するだろう。
それは、「失敗」したときである。
「『成功』したとき、ではないのか?」と思う人もいるだろう。
しかし、よく思い出して欲しい。
素直に反省し、そこを何とかすべく頑張ったのは、物事が思った通りに行かず、苦しんだときや、評価が得られなかった時、圧倒的に自分より優秀と思える人に力の差を見せ付けられて、自分はまだまだだ、と思わされた時ではなかっただろうか。
逆に、計画通りに事が運び褒められた時は、嬉しかったとは言え、その後、強烈に何かをしなければならない、という気持ちにはならなかったし、実際にやっていないのではないだろうか。
新卒でも中途でも、「苦難を乗り越えた経験」というのを良く聞かれるが、それは、その人がどれだけ成長しうる人材かを見定める意味も大きいのである。
では、「成功」したときには、どうなるのか。
成功によって得られるのは、「自信」である。
そんな事は当たり前だ、と思うかもしれないが、何事かを行う場合、特に、今まで経験した事のないことや、正解がないものなどにあたる際には、この「自信」の積み重ねが大きく影響してくる。
実際の施策立案やその実施については、数々の方法論などがあるが、それらを取捨選択し実行するには、やはり「自信」がないと、リスクが少ない方法をとりがちだし、逃げをうってしまう事にも繋がる。
だからこそ、「成長」と共に「自信」というのも同じくらい大切である。
すなわち、「失敗」は『成長』を促し、「成功」は『自信』を深める、のである。
人は、この両方のバランスを上手くとって、成長していく。
「失敗」によって学び、成長したことを、今度は「成功」によって確認し、自信に繋げ、次なる挑戦へと導く。
これが、「成長サイクル」というものである。
このサイクルを如何にまわせるかが、個々人の成長スピードの差異となって現れるのだ。
【成長を加速させるために】
「私は「失敗」を経験しているが、なぜ成長に差が出るのかわからない」
という人もいるかもしれない。
「失敗」によって学び、それによって「成長」するのであれば、挑戦をせず「失敗」を避けたり、「失敗」である事を自覚・自省しなかったりすれば、ほとんど「成長」しないのはわかる。
しかし、それだけでは、「成長スピード」自体に差がある事の説明がつきにくい。
実際、やたらと「成長スピード」が速い人がいる。
しかし、その人達の話を聞くと、一つの共通点が見えてくる。
それが、「成長スピード」の差を生み出すと、私は考えている。
単純に言えば、「成長スピード」を加速するには、「成長サイクル」を速く回せば良い。
だが、そんなたくさん「失敗」を積み重ねると、その人自身の立場が危うくなり、腰が引けるのもわかる。
では、どうすれば良いのか。
それは、「どのような事でも、高く明確な「目標」を自ら持ち、それに妥協しない」という事をすれば良い。
「目標」を高く掲げれば、自ずと「失敗」も増えてくる。
人から見たら、十分成果をあげているのに悔しがる人は、やはり成長の速度がはやい。
これは、他人からは「成功」に見えても、その人にとっては「失敗」となるからで、普通に「成功だ」と喜んでいる人よりも、明らかに「成長サイクル」をたくさん回す事に繋がる。
また、それに妥協を持たなければ、更に「成功」は困難となる。
「言われた事をやっていれば良いんでしょ」とか、「自分のレベルならこれくらいで良いだろう」とか思っていれば、目標自体が形骸化したり、低く設定されるため、「成長」には繋がらない。
更に言えば、上手くいったとしても、ひとりよがりな成功体験を積むだけで、そこから得られるのは、「自信」ではなく「過信」となる。
だからこそ、何かをやる時には、「どのような事でも、高く明確な「目標」を自ら持ち、それに妥協しない」事が大切なのである。
そしてもう一つ大切なのは、自らを「挑戦的な環境」に置くことである。
会社のブランドや国などの規制だけで、大半の人が食えてしまうような会社、は官僚も含めかなりあるが(詳しくは、『「ベンチャー企業」か「大企業」か』を参照)、そのような仕事をしていれば、当然ながら「成長サイクル」を数多く回す事は難しくなるし、回せても大したリスクもないため、成長度合いは小さくなる。
もし、強く成長させたい、と願うのであれば、まず、自身の身の置き場、という事から考えた方が良い。
「背水の陣」「火事場の馬鹿力」と言ったように、追い込まれると人は力を発揮しやすい。自らを甘やかしていれば、当然、成長も遅くなると自覚すべきだろう。
これは、組織についても同じ事が言えよう(詳しくは、「マネジメント力4 『欠かせないゴール設定のあり方とは』」にて)。
目標が明確で、それに対して妥協しなければ、組織全体の成長力は高まる。
達成不可能、までいくと無意味だが、ギリギリのラインを設定し、そこに向けて動く事ができれば、組織としての強さは、短期間で高まりやすい。
そして、その組織を構成する人も、当然ながら成長スピードは速まるのである。
最後にまとめよう。
人の成長は、「失敗」によって促される。だからこそ、「失敗」経験は重要なのである。
また、「成長スピード」の差は、「失敗」と「成功」を積み重ねる「成長サイクル」をどれだけ多く回すかに起因している。
そのため、意図的に「成長スピード」をはやめるためには、目標を持つ、それも、普通の人が考えるよりも高い目標を自らに課し、そのレベル感にこだわり、達成できなければ、周りが「十分だ」と言っていたとしても、「失敗」として受け止め、次の成長に繋げる事である。
また、更にストレッチしたければ、「成功」が約束されているような環境に身を置かないようにする事だ。
それをひたすらやり続ける事で、個人は成長するのである。
単なる経験だけでは、人は成長しない。
どれだけ厳しい条件下で、大きな「実績」を挙げたのかが、その人の成長に直結するのだ。
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◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates 理事長。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後ベンチャー企業に転進。経験を活かし、あらゆる改革・企画・管理業務を担い、業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革にあたる。
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アドバイザー 河合 拓
スタッフ 木原 工
副代表理事 三島 正寛
スタッフ 宮崎 善輝

この記事へのコメント (4件)
いつも楽しく拝見させて頂いてます。失敗について少し考えたのですが、失敗という言葉にとてもネガティブなイメージがありますよね。でも実際は単に「自分の中のモデルと現実の誤差」と定義出来ると思うのです。
そう定義した際、モデルは変えないけれどパラメータを変える失敗と、モデル自体を変える必要を自覚する失敗の二つのレベルがあると考えられます。例えるなら、前者は「上司に怒られる」、後者は「転職先の社風と合わない」といった所でしょうか。
個人的ですが、私の周辺では後者の「失敗」を繰り返している人の方がより大きな成長をしている様に感じます。モデルの修正を迫られる事により、自分自身の潜在的モデルを自覚する事が大きいのかなと考えています。
最後に最近自分の中で流行のゲーテの言葉から:
「望んでいたのもを手に入れたと思い込んでいるときほど、願望から遠く離れていることはない。」
だそうです。
投稿者: MY | 投稿日時:2007年08月31日 01:30
コメントありがとうございます。
確かに、パラメータ(同じ軸で伸ばす)レベルよりも、モデル(思考プロセス)レベルでの「失敗」経験の方が、乗り越えられた時に、より高い成長に繋がりますね。
ただ、リスクマネジメントの観点で言えば、大きな「失敗」ほど乗り越えられない危険性も高まりますので、「いつ」「どこで」「どの程度」の「失敗」をしても良い挑戦をするか、ある程度のコントロールは必要なように思えます。
それと同時に、いつでも「自分はあがった(十分できている)」と思わずに、常に高い目標を持って挑戦していきたい、と思います。
投稿者: 代表理事 清水 知輝 | 投稿日時:2007年09月03日 23:25
大変興味ある内容でにあり、自分の中で何かが開いた感じです。
ありがとうございました。
今ちょうど三十路です。これからの人生のきっかけをつかんだ様に思います。友達の悩みや辛さを共感しても、やはり最後は自分自身のメンタルと向き合うことなど今まで逃げ腰だった事に挑戦していきたいです。
仕事にしても、もっと自分にできることは何なのか・・少しずつ考えていきたいと思います。
投稿者: もも | 投稿日時:2008年04月26日 01:27
コメントありがとうございます。
これからの人生のきっかけにして貰えて嬉しく思います。
自身の成長は、やはり自身に起因します。そして、自分以外の誰かに何かをするためにも、自身の成長は欠かせません。
無理はせず、しかし、今の自分よりも一歩先を目指して、頑張ってください。
投稿者: 代表理事 清水 知輝 | 投稿日時:2008年04月29日 22:31