ICHIKAMIに見るブランディング戦略

カネボウが満を持して出した高級シャンプー ICHIKAMI しかし、この商品には同社の体質がハッキリと現れている。まず、誰が見てもTSUBAKIの真似にしかみえない。TSUBAKIが出た後にICHIKAMIを市場に出すところが、すでにマーケティングのセオリーを外しているのだ。この価格帯の商品は「二番目」は絶対に売れない。アルマーニクラスであれば、エンポリオアルマーニでよいのだが、シャンプーぐらいは「一番」じゃなければダメなのだ。その意味で、後発というハンディはいかんともしがたいものがある。
ラックスの一人勝ち市場に、アジエンスというオリエンタルなイメージで対抗した商品に対し、TSUBAKIという純和風で勝負をかけた資生堂。これらはすべて「コンセプトが独立している」ことに注目だ。これに対し、ICHIKAMIは誰が見てもTSUBAKIの二番煎じなのだ。ブランドセグメンテーションがMECEになっていない。
さて、そこでこのICHIKAMI復活の戦略を考えてみたい。
1.TSUBAKIの「派手さ」に対して「奥ゆかしさ」を強調する
同じ和でも、あっちはニセモノだ。本来の和というものはモデルを何人もウオーキングさせるのじゃなく、おしとやかにいくべきだというポジショニングである。従って、テレビなどの広告は一切使わず、他のチャネルを利用する。
・日本の由緒正しい高級旅館のスイートルームに置く
・外資系のホテルでも、日本であればスイートルームに置く
・都内の高級スポーツクラブ、カリスマ美容院に置く
こうすることで、確実に高級な場所=ICHIKAMIというブランドを作るわけだ。
2.パッケージ、商品に工夫をする
ずばり、この商品は「和紙でできた箱」に入れて販売したい。今のボトルはあまりに安っぽいのだ。おそらくサクラの匂いを強調したいがためにピンクにしているのだろうが、安っぽいシャンプーのメリット(薄いグリーン)のイメージになっている。もちろん、今流行のリフィルサービスをしないと「過剰包装」ということで消費者団体からバッシングを受けるかもしれない。従って、リフィルはするのだが、リフィルの外装も和紙でつくるというのはどうだろう。
成分表など、素材のアピールをイメージしたロゴに変える。今のロゴは、丸い円の中に感じで一と書かれている。このデザインを広告代理店がやったのだとしたら、あまりにお粗末といわざるを得ない。何のメッセージ性もないデザインだからだ。私であれば、主成分である植物や自然成分をイメージするロゴにするだろう。
ブランディングというものは、消費者にピンで立ったメッセージを出すことが秘訣だ。
3.思い切って値段を高くする
この商品、これからだんだん値段が崩れてきて、最後はマツキヨのかごに山積みで置かれる運命になるだろう。そうならない前に、思い切ってブランディング戦略を変えてみる。とうぜん、価格だけ高くするのは自殺行為だ。上記のようなマーケティング戦略を打ちつつ、外部のパッケージも変え、(成分も少しだけ変えて)ブランディングを最初からやり直す、というわけだ。
この商品の成功の秘訣は「二番煎じ」から、「本物」になることである。どうせなら、徹底的に「本物」を目指したい。
どうだろう。かなり無責任は承知でICHIKAMIのブランディング戦略を練り直してみた。逆に言えば、この商品、このぐらいの思い切った手を打たねばジ・エンドになるのは時間の問題である。
河合拓 (かわい たく)
職業:事業再生コンサルタント
ビジネスモデル構築、事業提携、M&A戦略、製品市場戦略、セールスフォース、マーケティング、間接部門コスト削減など経験豊富。主に上場企業相手に赤字事業の黒字転換、収益力強化など立て直した企業は多数。プライベートエクイティファンドとともに本格的な事業再生を展開。前職は総合商社にて営業職(海外、国内)を10年。本業の経営コンサルタントの傍ら、中堅商社の社長付経営顧問、上場企業の営業部長代行もこなす
プライベート:特定非営利活動法人FRI&Associaets シニアアドバイザー
「業種、業界を超えた生産的な議論を通し世の中を変革しよう」というかけ声で、2000年にFRIを設立、売上600万、会員数40名のNPOを6年経営。自民党への政策提言、大手商社との産学協同プロジェクト、コンサルティングファームへの就職支援、大学生向けビジネススキルアップ講座など精力的に活動をしている。2006年代表理事を辞任しシニアアドバイザーへ
今もっとも力を入れているのがメールマガジン (FRI Magazine 3年もつづけています)
http://premium.mag2.com/mmf/P0/00/09/P0000975.html
講演 執筆など
○政策学校一新塾第14期、第16期、18期講師 (参加者の9割がA評価の人気講師)
「ロジカルシンキング」
「仮説構築、情報収集、分析の技術」
「プロジェクト設計の方法論」
「モチベーションマネジメント」
「ヴィジョン構築」
○流通専門誌
「流通、小売り業のキャッシュフロー経営」
○流通専門新聞
「ザ・ターンアラウンド」(連載予定)
「ファッション業界は08年に起きる地殻変動に備えよ」〜総合商社OEMからの脱却戦略
「間違いだらけのQR」5連載
○その他、大手銀行PR向け営業戦略論、大手製造業社内研修向けビジネス寄稿など
○個人メールマガジン FRI Magazine (まぐまぐビジネス部門10位)
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