マネジメント力1 『管理職における情報管理とは』

ニュースで、30代のうつ病が急増している、という話を聞いた。私もちょうど33歳になったが、確かに、回りの30代は上から下まで、いつも疲れた顔で仕事をしている人が多いように感じる。
その理由は、若手を含めたミドル(中間管理職)にかかる負荷の大きさが、過去とは比べ物にならない事が、1つの要因として挙げられる。ミドルにかかる期待と負荷は、日増しに増して来ているが、その反面、なかなかそれに答えられていない、という現状がある。特に30代は、就職氷河期と呼ばれ、企業が採用を抑えていた頃であり、企業内でもその負荷は最も高い層の1つと言える。
そこで、同じ30代の一員として、部長として数十名の管理経験と、NPOの代表としての経験を踏まえ、簡単ではあるが重要なマネジメントのポイントを挙げて行こうと思う。少しでも負荷軽減の一助になればと思う。
【情報は自ら取れ】
ここ自体に問題があると思うが、ほとんどの企業において、管理職に昇進するのは、現場で実績をあげた人であることが多い。
本来、管理職も1つの職種である以上、管理職に対する適正、というものがあるものだが、現実はそうなっていない。問題発生の根本的原因の多くはここにあるのであるが、なってしまったものは仕方がないので、どう対処していくか考えてみよう。
現場で実績をあげるタイプは、大きく2種類に分かれており、一人でガンガン動いて自分の力のみで実績をあげる一匹狼タイプと、上手く上司を使って成果があがる環境を作るのが上手い環境派タイプになる。
どちらか一方という訳ではなく、これらの混合、という場合も多々あるが、どちらにせよ、そのスタイルから、2タイプ共に、管理職になった時に同じところで躓く事が多い。
それは、部下に対しての情報収集の考え方である。
一匹狼は情報を一人で握りたがるし、環境派は上には報告するがそれ以外について、特に何かする訳ではないことが多い。
そうなると、初めて部下を持ったとしても、一匹狼は、放置プレーになりがちだし、環境派は、上司(すなわち自分)には部下が報告するのが当然、と考えてしまう。
すなわち、共に、自ら部下から情報を集めよう、という意識が働かない。
しかし、自らがプレーヤーでいる事と、管理職との大きな違いの1つとして、「生きた情報」に接する機会の頻度、が挙げられ、当然ながら、管理職になった途端、情報が上手く手に入らなくなってくる。
こういった事を事前に理解し、その重要性に気付いていれば、自ら情報を集めようとなるのであるが、それに気付く人は少ない。
そうなると、昔のように情報が集まらず、過去の判断に頼りがちになってしまうばかりか、「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)が出来ていない、などと部下を叱咤してしまう。そうすれば、余計に相談などしにくくなるにも関わらずである。
また、管理職の重要な仕事として、他部署との調整、というものがある。
これは面倒がられるのであるが、仕事を進める上で、非常に重要な役割を果たしている。なぜなら、1つの部署だけで仕事が完結することなどありえないからだ。特に、改革・改善業務などは、全体最適の観点が重要であるため、この傾向は強くなる。
しかし、前述のような管理者は、部下に対してと同じく、自ら動いて情報を取りにいくことなく、「横のつながり」が出来ていない、と他部署批判をしてしまったりする。
これ自体は間違いではないのだが、その責任の一部、あるいは多くは、動かない自分にある、という事を忘れてしまうのである。これは、昔、自分がよく動くタイプだった人に見られる。自分がやっていたのだから、人もやって当然、と思ってしまうのだ。
だが、そんな事を言っていては、結局のところ、仕事が進まなくなる。そして、結果的にプレッシャーが高まり、心理的負荷が増し、管理職になった途端、精神的に病む事になるのである。
本来であれば、こういった仕事のやり方は、上司から学び取るものであったし、教えてもくれた。しかし、上司も時間がないばかりか、近頃は、上司自体がこうしたやり方が身に付いていない事も多いようだ。
では、どうすべきか。
答えは簡単である。単に、どんな時でも、自らが動いて情報を取りに行くようにすれば良い。
「何で部下が報告すべきものを自分が」「他部署から言うべき内容だろう」と思うかもしれない。
そして、それはあながち間違えではないかもしれない。
しかし、同時に、そのままでは成果が出ない事は確かだ。
成果を出したいのであれば、自らが動き、情報を取りに行くべきだろう。
最後にまとめてみよう。
管理職になっても成果をあげるためには、自らが動いて「情報を取りに行く」という心掛けが重要である。
簡単な事だと思うかもしれないが、自らがその立場にたつと、なぜか動けなくなる事が多い。
人間関係も動きづらい要因としてはあるかもしれないが、動かなければどうしようもない、という事を自覚し、積極的に動く事をお勧めする。
少なくとも、この事業環境下におけるスピード感の中、待っていれば必要な情報が必要なタイミングで上がってくるとは考えない事だ。必要と思う情報がありそうなところに取りに行くスタイルに早急に変えなければ、タイミングが確実に間に合ってこない。
情報を取りに行くようにすれば、また違った関係が築け、悩みのかなり部分が解決されることだろう。「情報は集まるところに更に集まる」というのは、全ての仕事と同様なのである。
「情報を取りに行く」のは、成果を挙げるには欠かせない要件である。これは、プレイヤーでもマネージャーでも関係ない。どんな立場にたっても、ここは忘れずに自ら動いていきたいものだ。
●「マネジメント力」強化シリーズ
マネジメント力2 『役職に固執しない部下育成のあり方とは』
マネジメント力3 『公平なジャッジメントを行うために』
マネジメント力4 『欠かせないゴール設定のあり方とは』
本コラムは、筆者メルマガ「FRIマーケティング&キャリア(旧就職参謀)」を元に再構成したものです。
より詳しく知りたい方はこちらへ⇒ 筆者メルマガ「FRIマーケティング&キャリア(旧就職参謀)」
◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates代表理事。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後、自らの関わり方に疑問を持ちベンチャー企業に転進。経験を活かし、経営企画・事業企画・商品企画・営業企画など様々な企画業務、数十名規模のライン管理職、業務・会計・人事などの各種改革業務などを担い、業績拡大を支える。また、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに責任者として従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革、大手企業の機構改革などにあたる。
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