機能しない情報システム部

もはや、IT化無くして企業の競争力維持はできなくなっている。一段落付いたと言われるERPだが、私はそうは思わない。少数の成功例をもって全体を語ることはまだまだ危険だ。ERPどころか、未だ旧態依然とした体制でIT化に乗り遅れた企業は山のようにある。
企業のIT化を推進していく中核部門となるのは情報システム部であるが、この情報システム部門が本質的な欠陥を持っているため、企業のIT化が遅れているということが多い。まず、企業のIT化というのは、企業の業務プロセスそのものであり、従来のようなネットワークのメンテと保守だけやっているシステムでは手が出せない代物なのだ。
これは、情報システム部門だけに限ったことではないが、企業の間接部門は事業部の単なる支援機能だけ持っていればよいと言うわけではなく、事業部に積極的に新しい技術、トレンド、リスク管理などを提案(コンサルテーション)できる専門性とプロフェッショナリズムが必要になってくる。BPOなどを主軸としたアウトソーシングとプロフィットセンター化による市場原理と競争原理の導入は、一時期それなりの説得力を持っていたのだが、昨今の経営環境はそれほど甘くない。コンプライアンス、環境対策、敵対買収対策など、市場原理だけでは片付けられないほどの専門性をコーポレート機能として持つ必要があるのである。
間接部門のミッションについては、別にゆずるとして、特に、情報システムの老朽化は企業の競争力を一層弱体化させることになる。これに対しては、まず、情報システム部門の若返りを図る必要がある。特に、業務経験者を積極的に採用し、「戦略」を語れる人材を育成すべきだ。従来のようなご用聞き部門から脱却し、社内コンサルテーション能力をもたねばならない。余談だが、私が前にいた会社では、情報システム部門は壊滅的だった。管理のための管理を繰り返し、事業部の邪魔ばかりしていた。私は営業部にいたのだが、お客の在庫情報がインターネットで閲覧できるということで、ブラウザーを申請したところ、判子を10個も押し、半年かかって一人だけに許可されたという体たらくだった。
また、事業部はろくにシステムの勉強もせず、無茶な要求ばかりし、お互いに喧嘩ばかりしていた。こうなっては、もはや自力でIT化を推進することは難しいだろう。外部のコンサルタントなどを雇い、正しいIT化プロジェクトを推進するなど、外部の力をうまく協力する必要がある。
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【著者】
河合 拓 (かわい たく)
経営コンサルタント 広く流通、小売業界に対して事業の立て直し、組織改革などを行っている。得意領域はマーケティング、事業戦略、生産性向上、営業改革、ナレッジマネジメント導入など。手がけた企業は国内外の大手上場企業。製造業、IT 企業、総合商社、流通企業など。赤字の上場企業を半年で黒字化させるなど、過去5社の立て直しを行いすべて成功裏に終わっている。
NPO法人FRIの設立者(現在はシニアアドバイザー) 自民党への政策提言、私立大学と大手商社と産学協同ブランド開発プロジェクト、大学生向け就職支援、中小企業向けコンサルティングなどを行っている。
ベンチャー事業会社経営顧問(社長付け経営戦略アドバイザー)グローバルに展開するアパレル企画会社の社長直属の戦略アドバイザーを務め、アジアに展開するブランド戦略に関する立案を支援している。また、公開企業のコンサルティング事業部、部長代行も勤める。
(講演、執筆)
繊研新聞 (全国紙)
「間違いらだけのQR」「ファッション業界は08年に起きる地殻変動に備えよ」連載
チェーンストアエイジ 「キャッシュフロー経営」
大手都銀向けビジネス雑誌寄稿
大手製造業向けビジネスマガジン寄稿
政策学校一新塾 (大前研一設立) 講師
「ロジカルシンキングと会議の設定」
「仮説構築と情報収集、分析の技術」
「プロジェクトマネジメント」
「モチベーションマネジメント」
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