コンサルタントを活用「できる」会社と「できない」会社

「うちの会社はコンサルタントを上手く使えなくて…」という話をよく聞く。
実際、そういう会社とお付き合いすると、「ああ、確かになぁ」と感じるところがあるのは事実である。勿論、それでも成果を出すべく動くのが、真のコンサルタントだろうが、コンサルタントから見て、「やりやすい」「やりにくい」というのはあるだろう。しかも、企業規模に関わらず、いや、逆に大企業の方が、下手な会社である事が多いように感じる。
そこで、コンサルタントを上手く使える会社とそうでない会社の違いについて、今回は論じてみたい。
また、コンサルタントやそれを目指す人は、顧客特性に合わせて打ち手を変える必要があるため、こういった事は理解しておく必要があるので、参考にして貰えればと思う。
【コンサルタントの必要性】
事業運営上、コンサルタントに頼まなくても、内部的に解決できるのが一番だと、コンサルティング会社にいた私は、特にそう強く思っている。
しかし、時間を買う、という意味合いや、成長過程においては、必要なタイミングが来るのも事実である。
そういった時に、上手くコンサルタントを使えなければ、非常に高価なコンサルティングフィーが無に帰すばかりか、コンサルティング会社を使っても無駄だ、とか、付き合った時間を返せ、などと、負の空気が社内に蔓延して、余計に上手くいかなく、いや、悪くなる事も往々にしてある。
それは、出来る限り避けねばならない。
しかし、世界的に著名なコンサルティング会社ですら、その提案がまともに活用されていない事例は数多くあり、お付き合いしてきた会社でも、実際に幾つかのケースを見てきた。
また、コンサルタントを上手く使えない、という事は、すなわち、社内の似たような改革型人材を活用出来ていない証拠でもある。
これは、現状の規模の多寡ではなく、変化に対応できる会社が成果を挙げられる現在において、かなり大きな問題である。
早急に社内のあり方を見直すべきであろう。そうしなければ、5年は安泰でも、10年先、20年先は、相当危険な状況に置かれる事になるだろう。
では、どういった企業は、コンサルタントを上手く使えないのだろうか。
大きく分けると、1つは、「ゴール像まで依頼する」企業、もう1つは、「全てを丸投げして評価しかしない」企業である。
【ゴール像まで依頼する企業】
「ゴール像まで依頼する」のが駄目だと聞いて、コンサルティングの仕事をイメージしていた人は、ちょっと「おや?」と思ったかもしれない。
確かに、特に、戦略系と呼ばれるコンサルティング会社は、本来の役割は置いておいて、教科書通りに「ゴール像」としての戦略立案をするのが仕事になっていたところもあった。
しかし、それがどういう結末を生み出したのか。
噂に聞くように、「埃にまみれた分厚い提案書」である。これは至るところにあるホントの話である。
いや、まだそれの方が良いかもしれない。
(著名戦略コンサルティング会社の)提案通りにやって、事業自体が傾きかけた企業も山のようにあるのだ。
本来、事業の専門家である企業人が、コンサルタントにゴール像の決定まで依頼するのは、本末転倒である。
なぜなら、あくまでそのゴール像に向かうのは、その企業で働く人々であり、コンサルタントではない。
つまり、最も事業に対して責任を取るべき事業内部の人達がゴール像を描かなければ、その事業方針に社員が、いや事業責任者自身がコミットできるはずがないのである。
それは、ゴール像が正しいか正しくないか、という議論ではなく、それを強く遂行しようとする人達が、社内にいなくては、実施自体の覚束なくなってしまうのである。
この手の企業のよくある言い訳は、「事業もロクにわからないコンサルタントが作った計画では、きちんと実行できない」(怖くてやれない)から、私はやりませんでした、というものである。
また、もし実行したとして、失敗しても責任はゴール像の計画自体にあるから、遂行者が「面倒なものを背負い込んだ」程度にしか思わず、逃げを打ちながら実行するため、例え、上手くいくかもしれないものもであっても、上手くいかなくなってしまう。
コンサルタントの仕事とは、幾つかの可能性の高い選択肢を用意し、できればその中から更に推薦する、のが仕事であって、完全な解、すなわち「ゴール像」自体を提供するものではない。
実行主体が責任を持つためにも、最終決断は依頼者にして貰わなければならないのである。
そこを考えず、ある意味、意思決定の重みから逃げ、コンサルタントに「ゴール像」まで依頼する企業は、提案の良し悪しに関わらず、成果を残す事は出来ないだろう。
また、コンサルタントも、顧客企業からゴール像を求められたとしても、最後の意思決定においては、必ず顧客企業に担わせなければならない。
それを見誤り、自分で答えを描いて、描ける事に満足しているコンサルタントも多いのが実情である。
そこは、企業だけでなく、コンサルタントも自省が必要だろう。
【全てを丸投げして評価しかしない企業】
もう1つのケースは、依頼を丸ごとアウトソースし、依頼者が高みの見物を決め込むパターンだ。
これもかなり性質が悪い。
こういう時は、企画系部門の言い訳や体の良い分析作業者として使われている可能性が高い。
こうなると、契約自体は長く繋がる事が多いのである(コンサルティング会社としてはありがたい)が、決して、契約主体が自主性を持つ事はないし、提案した内容が直接実施へと繋がることは薄い。
なぜなら、事業の細部まで理解した現場の人達が関与する中で決められた「手触り感」のあるゴール像でなければ、現場の納得感は限りなく低くなるし、納得感が低いものはお蔵入りする可能性が高くなるからである。
発注者も、ある意味それをわかりつつ、自らが直接やるのが嫌なので、依頼している部分も見受けられる。
そして、最後には、「提案は良かったんだけど、うちには合わないね」などと、自らにその責任の大半があるにも関わらず、そう言ってのけるのである。
しかも、性質が悪いのは、その提案自体は、自らは作れない事が多いのに、自分が当然知っている会社独自の都合を盾に、色々と文句だけを言って終わるのだ。
これは、非常に大企業の本社企画部門系にあるパターンである。
こうなってくると、コンサルタントも何のためにやっているのかわからなくなるし、顧客に主体性が一切ないため、ほぼ確実にプロジェクトは着地しない(成果に繋がらない)。
プロジェクト先で、顧客がそのような態度を見せた時は、まず、良いソリューションを提供するよりも、如何にして顧客を巻き込むか(別にプラスばかりでなく、追い込んでも良い)に注力すべきだろう。
そこが上手くいかない限り、どのような提案も成果が出るところまでは行かないのである。
【これから求められるコンサルタント像】
大切なのは、ここに、「実行・推進までお願いする」企業が入っていない事だ。
今、コンサルティング会社に求められているものが大きく変わってきている。
今までは、広く業界を見渡して、ベストプラクティスを教えてくれたり、各種分析を通して、答えらしき(可能性がある)ものを提示してくれることを、顧客企業は求めていた。
しかし、これからのコンサルティング会社に求められるものは、その答えらしきものを、顧客企業と共に推進し、「答えにする」事である。
つまり、実質的な成果を求められているのだ。
そうなってくると、上記のような企業状況に切り込み、まずプロジェクト体制を確実なものにするマネジメント力であったり、理解し立案した施策を着実に進める事業推進力、それらに連なる人間力が求められるようになる。
今まで一番の売りであった、論理性やナレッジなどは、あって当然、程度のものになるのだ。
これ自体は、市場環境の変化において、至極当然であり、いいことであると思う。
但し、コンサルタントだけでなく、あらゆる業態において、そういった力が求められるようになるのであり、特に、新卒でコンサルティング会社や投資系(完全に理論系に進む人は除く)に進みたい人は、注意して欲しい。
今までのように、知識さえ身に付け、ハードワークをこなせば何とかなる時代は、もうそろそろ終わろうとしているのである。
最後にまとめてみよう。
コンサルタントを上手く使える会社は、依頼者として主体性を持ち、コンサルタントの役割をきちんと定め、実行主体は自らにある、と考え動ける企業である。
しかし、同時に、それを実現できるだけの人材を企業自身も多くは抱えていないため、一部、実行主体者を代替できる力が、これからは、コンサルタントに求められてくる。
もし、企業側責任者として依頼する際も、コンサルタントがそれだけの覚悟があるかどうか、そして、力があるかどうかを、しっかりと見定める必要があると共に、自らも推進主体となるだけの覚悟をする必要があるだろう。
そうなった時に初めて、とても大きな成果に繋げる事が出来るのである。
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◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates代表理事。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後ベンチャー企業に転進。経験を活かし、あらゆる改革・企画・管理業務を担い、業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革にあたる。
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