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時代遅れなメーカーの実態

2007年6月 6日 by 副理事長 三島 正寛   ブックマークに追加する

 副理事長 三島 正寛

私は大手総合電機メーカーの営業マンだ。大手のメーカーに入って仕事をしていると、会社のおかしなところに日々気がついてしまう。それが私の会社だからそうなのか、電機に限らず大手のメーカーに共通する問題なのかは私には知る由もないが、気になる点をいくつか挙げてみたい。

 
1、プロダクトアウトのものづくり
メーカーのものづくりは、とかくプロダクトアウトである。もともと企業の発祥が、戦後のものが無い時代に何とか世の中の人々の生活を良くしたいという理念から生まれ、その後の高度経済成長時には、とにかく作れば売れてきたということが、大きく起因してるのだろう。とにかくモノ不足の時代には作ったら作っただけ売れたため、その時代が組織全体の考え方に大きく影響を及ぼしている。その組織文化は、モノ余りの成熟期に突入した現在も変わらない。相変わらず、工場では需要予測も立たない商品を、1個当たりの原価を下げるためだけにとにかく大量に生産しているのが実情だ。そこには市場分析やマーケットインといった発想は全くない。「マーケティング」という言葉が全く似合わないのが(特に多くの設備投資を必要とする商品の)メーカーではないだろうか。
 
2、営業力の無さ
概してメーカーには営業力が無い。これは、良くも悪くもメーカーの成否を決める要因が「商品そのもの」にあるからだ。結局のところ、良い商品を低コストで作ることができる企業は大量の商品を世に送り出すことができ、逆に、商品力が無く、コストが高い商品は売れない。そうなると、商品の成否は、商品企画、製造の段階で既に決定してしまっており、営業はその良い商品を代理店や流通チャネルに確実にデリバリしさえすれば良いことになる。私のまわりにも、ただ単に毎日毎日代理店や大手の量販店に足しげく通って、担当者の愚痴を聞いたり、頭を下げたり、商品を送り届けたりすることだけが自分の仕事だと思い込んでいる人が数多くいる。
したがって、おのずからメーカーにおける営業の地位は低い。そのことは、メーカーの経営層の多くがエンジニア出身で占められることからもよく分かる。メーカーで営業というのは、あくまで「売り子」であり、一生「営業担当」で終わる職業なのである。モノを売って市場からお金を稼いでくる「営業」がそれほどまでに評価されていないのは、違和感を感じざるを得ない。
 
3、技術と営業の仲の悪さ
上記のような状態であるから、当然、「技術」と「営業」はことあるごとに意見が食い違い、反発し合っている。技術の方は、「営業力が無いからものが売れない」とか、「営業は顧客の言いなりになって、無理な注文ばかりとってくる」と営業を批判し、一方、営業の方は、「技術が作るものは市場のニーズとはかけ離れたものすぎて売れない」とか、「技術は浮世離れしている」と技術を批判する。とにかく両者とも、自分の立場からしかものごとを考えることができず、常に自分が正しいと考えていることだ。私から言わせれば、どっちもどっちであるが、そんなやり取りを毎日毎日繰り返し、組織はどんどん非効率になっていくのである。
 
以上、3つの観点から(旧タイプの)メーカーのあり方に疑問を呈したが、いずれについても言えることは、時代の変化に対応できていないということだ。メーカーが一世を風靡した高度経済成長の時代は終わった。日本は明らかに成熟した市場へと移行してしまったのである。その点に気づかずにいつまでたっても昔ながらのやり方で、何の変化も無くやり続けていれば、その企業に将来はないだろう。

 

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