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「エコ」の見方(2)

2007年6月21日 by スタッフ 宮崎 善輝   ブックマークに追加する

スタッフ 宮崎 善輝

さて、今回はものの流れとイメージで「エコ」を観てみよう。


【ものの流れで観てみる】
世界的な「エコ」に対する関心の高まりが、日本の町の小さな豆腐屋を営む高齢者の生活を脅かしている、という事実をご存知であろうか。
これは、風が吹けば桶屋が儲かるという話ではない。

以下にざっと流れを見てみよう。


 ・昨今の石油価格高騰が、代替エネルギーに対する関心を高めている。
 ・代替エネルギーの筆頭である、バイオエタノールの需要が増加。
 ・主な原料のトウモロコシの需要が増え、価格が上昇。
 ・商社がトウモロコシの在庫を増やし、生産能力以下に市場の流通量を絞る。
 ・トウモロコシは儲かると認知され、投機的な買い集中、価格をさらに押し上げる。
 ・農家が大豆や小麦の作付面積を減らし、高く売れるトウモロコシを増やす。
 ・大豆や小麦の流通量が減り、それらの価格が上昇。
 ・近所付き合いで成り立っている、町の豆腐店はおいそれと値上げを出来ず収益を圧迫。


前年比トウモロコシ約1.5倍、小麦や大豆は約1.3倍も上昇しているのだそうだ。※2007年4月前年比
これらの穀物価格の高騰は、たしかに一時期的に市場の需要供給のバランスが崩れているだけのことかもしれない。しかし、この現象からもう一つみえてくるものがある。


小売 - メーカー - 商社 - 農家間のパワーバランスの変化である。
いままで、農家は選別される側の立場だったのだが、徐々に選択する側に立つようになってきたのだ。
農家が他の作物を作ると宣言すると、それを当てにしていた商社やメーカーは恐れおののいてしまうわけである。


世界的な人口増加は予想以上に進み、一地域にとどまらない食糧不足の問題が出てくるだろう。
さらに、地球温暖化の影響により、気候の変換が急激に起こってくると予想される。
豊かな穀倉地域が、今まで体験してこなかった干ばつや台風などに異常気象に見舞われ、今までどおりに生産量が不安定になってくるだろう。
その際に、一番力を持つプレイヤーは、農作物を安定的に供給(生産ないし流通)できるところであろう。


一方では、石油メジャーから食料メジャーに世界の覇権が移っていくという見方もあるが、決定的に異なる要素がある。
それは生産者が意思決定を出来ることである。
油田が生産するものは原油のみであり、意思決定は生産量の調整のみであるが、農家は市場をにらみながら、今年はトウモロコシ、来年は大豆にすると、作付け作物の意思決定が出来るのである。
あくまでも作付け作物は市場に支配されるため、買い取る側はそれを操作することができないのである、ここが決定的に違う。
付き合う相手を選ぶ選択権は、徐々に商社ではなく生産者のほうにシフトしていくのである。
昨今の食料価格の上昇は、世界的経済構造の変化の序章なのかもしれない。


【イメージの裏側を見てみる】
日本の広告代理店はえらいと思う。
社会に対して新たなコンセプトを提示し、ブームを意図的に醸成することが出来ているからである。その効果のほどは、人により異論はあろうが、一定の役目を果たしていると私は思う。エコに敏感な人たちが実践している、MYバック、MY箸、クールビズ、ふろしき、などこれらはすべからく広告代理店が関わっている。


将来、地球が温暖化して住めなくなるのはいやだ、でも今、車もエアコンも使わずガスも電気もない生活を送るのはもっといやだ、と思っている人が大半であろう。
そういった人たちに、ちょっとした罪滅ぼし的な安堵感と、環境にも気を使っている私はエライという優越感を、提供することが出来るのだ。
マズローの要求段階説の上位に位置する「自我の要求」の欲求を巧みに刺激してくる。
消費者も喜んでそれを受け入れるのだ。


それはそれでいいのだが、一方ではその効用はいかほどのものであろうか。ふと疑問に思う。果たして、消費者はその効果を意識して行っているのだろうか。
たとえば、MYバックを見てみよう。


今年1月にイオンが京都で実験的にレジ袋の有料化を行った。
客離れもせず約80%のお客がMYバックを持参するようになった。事前にお客への説明と理解を積極的に行ったことが功を奏したようだ。イオンはこの成功を足がかりに全国展開し、2010年までには現在の半数である8億4000万枚削減を目指しているそうだ。


では、目の敵にされているレジ袋が日本の原油消費量のうち、どれぐらいを占めているか正確に答えることが出来る人は果たしてどれぐらいいるであろうか。


現在、日本においては年間305億枚のレジ袋を使用し、その製造に約55.8万klの原油を使用している。日本の年間原油輸入量は約24千万kl(※2002年度)である。輸入量に対してレジ袋の消費量はわずか約0.23%ほどである。この数値を多いと感じるか少ないと感じるかは人によると思う。
たとえイオンが目標を達成したところで、日本のレジ袋の約2.7%を占め、日本の原油輸入量に対しては、約0.006%を占めているに過ぎないのだ。
やらないよりは少しでもやったほうがよい、確かにそうかもしれないのだが。


レジ袋削減は、他の環境問題と比べて比較的とっつきやすいものかもしれない。しかし、その効果は高いのかといわれると、数字を見る限り疑問を持ってしまう。もっと他に、優先して解決すべきものがあるのではなかろうかと思う。


MYバックは、環境に対する意識を喚起するための旗印としての役目を果たすことは出来ても、根本的な環境問題の打開策にはなりえないのである。
目の前に問題があるからといって、問題をオセロのごとくパタンとひっくり返し、解決策にする、というような単純なものでは解決できない。


「環境のため」などと、一見して美しく反論できない言葉で語られる問題に対して表層だけを捉え、「善」と判断してしまうことは危険である。
物事には必ず、「正」と「負」の側面がある。その両面を意識して観ようとしなければ問題の本質はわからないのである。


さて、二回シリーズで「エコ」というものを観てきた。
イメージで語られるものを、目に見える数字や事象の流れで観てみると、また違った側面が見えてくることであろう。
私は決して環境保護に反対してるのではないのだが、一つの見方として何かの参考にしてもらえればと思う。

 

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この記事へのコメント (1件)

意識の違いを痛感
どんなに叫んでも、一度便利な生活に馴染んでしまった人々は、簡単には治らない。毎日、生活していて、毎日の事なのだから、皆が目覚めたら凄い力になるのに
格差社会だから、どんどん生きていくのが難しい人が増えるよね
悲惨な事件も増えている
何処かで、小さくても声を上げる事、実践し続ける事、諦めない事が大切です
頑張ってください
私も、職場で無駄の事や、主婦から見たら可笑しい事を、どんどん発言しています。でも却下され続けていますが
本社の力が強すぎて、格店舗では、実践出来ない現状
現場を知らない人材が、机上で決め付けて来る
変な仕組みだよ
ガンバ!ファイト!

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