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AI時代に活躍できる人材とは~データアナリストになれば安心とは言えない~

2018年2月27日 by 理事長 清水 知輝   

理事長 清水 知輝

今、AI系の技術者の求人倍率が6倍を超えたと言われている。
それを見て、AI系の技術者(データアナリスト)を目指す若者が増えているとのことだが、私はそれを見て、以前見た光景を思い出した。
それは、2000年問題を抱えた過去のIT業界である。
 
これから、AI技術者を目指す人に、AIの特性と過去の歴史を踏まえて、どのようなことに注意すべきかについて、簡単にまとめたいと思う。
是非参考にしてもらい、社会に貢献できる人材になって貰いたい。
 

最初に述べておくが、この話は、AI自体を開発する一部の研究者は除いている。
この領域は、ある意味、天才に近いものであり、大半の人にとって参考にならないからだ。
実際、私もIT業界にはそれほど長くいた訳ではないが、天才肌の人は何人か見てきた。その人が直感的に書くコードはある意味アートであり、非常に高いパフォーマンスを出しているのを見て、正直、一生仕事には困らないだろうと思ったものだ。
 
今後は、ベースのAIを使って、いかに色々なものに応用するかが仕事の主流になり、仕事・雇用の大半はそれが占めるだろう。
そのため、主流となる領域に絞って話を進めていきたい。
 
【データアナリストにも段階がある】
 
まず、結論から述べると、10年先にも高い評価を得られる人は、
 
『AIの分析結果を解釈しわかりやすく伝える人材』
 
である。
 
これを読んだだけでは、わかりにくいと思うので、データアナリストの段階を3つに分けてみたので、まずそれを見て貰いたい。
 
第一次:オペレーター:AIを適切に運用できる人材(プログラマー)
第二次:コントローラー:求められるものを想定してAIに分析させるデータを検討できる人材(SE)
第三次:コミュニケーター:AIが分析した結果を解釈しわかりやすく伝える人材(コンサルタント)
 
データアナリストという言葉にとらわれると、中々見えてこないが、人材的には上記のように分けられ、それは、今までのIT業界の構造とほぼ合致すると言ってよい。
また、IT業界と同様、いきなり第三次のコミュニケーター人材になることも可能だが、第一次のオペレーター・第二次のコントローラーの能力を有している人材の方が強いことも同じになると言えるので、技術をしっかりと身に着けることは良いことだ。
 
【なぜ第三次の者が強いのか】
 
AIは、AI自らが動くのだから、第一次や第二次の者が強い、いや、そういった人材だけで良いのではと思われがちである。
しかし、そう考えてしまうのは短絡的かつ早計だ。
 
まず、AIについて考えてみよう。
AIは人の経験則・暗黙知を想定できない速度で導出できる装置、要は、人が数千年、数万年かけてきた試行錯誤を極短時間で実現できる装置と考えるとわかりやすい。
AIが導く解は、とにかく試すだけ試して一番上手くいくものを提示する訳なので、(人が簡単に理解できるような)理屈がないのである。これが、過程がブラックボックスと言われる理由だ。
 
しかし、そこに入れるデータによって、導かれる解は大きく変わってくる。
当然ながら、参照できる領域がそのAIにとっての「世界」になる訳で、人と同様に、学習をベースとすると、環境に大きな影響を受ける部分は変わりない。
だからこそ、第二次の投入データをコントロールする能力が非常に重要になってくるのだ。
 
例えば、顔認識では、白人男性の誤認率と黒人女性の誤認率では、大きな隔たりがある。
これは、学習するために読み込ませた写真が、大きく白人男性に偏っていたから、という理由からである。
どの地域でもどの人種でも問題なく使えるようにするためには、このような学習素材の偏りがあっては決していけない。そのようなコントロールを行わなければ、非常に不十分なものしか出来ないだ。
 
だが、それだけでは不十分だ。
AIが導き出した解はどうなるか考えて欲しい。
解を受けて動くのは人である。ここは忘れてはならない。
 
人は、何らかの理由付けがないと、モチベーションが異常に悪化する感情の生き物だ。DNAに刻み込まれている以上、避けようがない。
それは、間違ったことであっても、何らかの理由を提示されれば実行してしまうほどである。「仕事だから」「戦争だから」などと言って、たくさんの理不尽な非合理な事象を人は遂行してきた。歴史における様々な悲劇は、そうやって起きてきたことを見れば、おわかりいただけるだろう。
だからこそ、過程がブラックボックスになってしまうAIの解に意味付け・理由付けを出来る人材が、最も重要となるのである。どのような解であれ、実行に移されなければ、単なる計算結果、数字の羅列と大差ないのである。
 
今までのIT業界でも、コンサルタントが重用されたのは、全く同じ理由である。
人が話す曖昧な要件を、明確なシステム設計に落とし込む、という部分が最も難易度が高いものであり、尚且つ必要不可欠なものであったからだ。
若干、向きが変わる部分はあるが、人と仕組みの間の大きな断絶は、常に発生するものであり、どれだけ技術が発展しようとも、そこは変わらないのである。
 
【コミュニケーターを不要とする仕組みも重要】
 
AIが一番力を発揮するのは、実は「人が介在しない領域」である。
 
例えば、自動倉庫においてどのように荷物を置けば効率的になるか、季節や時間や出荷状況を鑑み最適化する、あるいは、人が介在していたとしても、どのように家電製品を使えば省エネになるか、状況に合わせて稼働させる、と言ったことは、人に対して説明を要しないため、非常に力を発揮できるだろう。
 
個人的には、AIが汎用的に稼働でき、家電のIoTが進めば、最も大きなわかりやすい成果を得られるのは、この生活を便利にしながらも省エネ化をはかる、という領域だろう。近い将来、消費電力や化石燃料の使用量は、今よりもかなり少なくで済むようになるはずだ。
 
要は、人が介在しないところで力を発揮できるのは、同じ答えでも違う解釈をする「人と言う不確定要素」を排除できるからだ。
そう考えると、範囲は限られるものの、成果が出やすい分、AI活用領域としては先行していくと考えられる。
 
あるいは、まだまだAIをフル稼働させるには、かなりの処理能力を要するため、全てをAI化するのは難しい。そのため、一部を定型化して、オートクチュールのようなAIではなく、既製服的なAI処理により、処理能力をそれほど必要としない仕組みづくりも、当面の間は必要とされるだろう。
 
少し話は逸れたが、こういった考えて全体設計を出来るためにも、コミュニケーターの力は必要不可欠である。
 
わからないことを除くのは不可能だが、わかった上で除くのは難しくない。
業務設計の意思決定ポイントを設定するのと同じく、どこで人に伝えなければならないか、それが最も効率的かつ最少にすることが、優れたAI活用の要点だからだ。
 
 
最後に、それぞれの能力をどの様に身に付けるかの方法はこの場では触れないが、大切なことは「オペレーター」「コントローラー」「コミュニケーター」のような別々の能力が将来的に求められていく、ということをきちんと把握した上で、単に運用が出来るだけの人で終わらないよう、幅広くたくさんのことを吸収する必要があることを理解することである。
周りの環境やニュース等に踊らされず、しっかりと考えて歩んで貰いたい。
 
 
◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在、NPO法人FRI&Associates 理事長
大阪大学大学院 工学研究科を修了後、コンサルティング会社にて、事業戦略、業務改革、IT導入等を手がけたが、自身の仕事の関わり方に疑問を感じ、ベンチャー企業に転職。経験を活かし、各種企画・改善業務、法人営業、業務部門長等を担い、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングにも責任者として従事。その後、投資育成企業にて子会社の事業企画や経営改革、大手メーカーの機構改革などにあたった後、地元関西にUターン。
計測機器メーカーにて、経営企画担当の上席執行役員として、各種改革業務、マーケティング、事業開発等を推進する。その後、グローバルファームの大手監査法人にて、メーカーを中心に経営高度化に関するビジネスアドバイザリーサービスを提供後、住宅リフォーム会社にて人事とコンプライアンスという新たな業務に携わり、関西の大手携帯販売代理店にて、業務改善、物件開発、マーケ、購買等の責任者を担う。2017年4月より業界団体に出向し、会員企業向け教育研修事業の立ち上げ、各種業務の改善などに従事。業界全体の発展に尽力している。
事業企画や問題解決をはかる際、事業特性を鑑み、横串での業務改革とマーケティングを軸に、具体的な行動を行うことを信条としている。

 

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