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就職活動からの自分ブランディング ~就職活動でやるべきこととは~

2007年6月13日 by 理事長 清水 知輝   

理事長 清水 知輝

自己分析で、自分を理解し、そして、自分のブランド化をはかる。
これは今の就職活動においては、よく言われている事になった。
私は第二次ベビーブーマー最後の年の生まれなので、かなりの就職氷河期であったが、それを前後して、就職やキャリアに関して、色々な考え方が世の中に出るようになった。


思えば、今の就職活動でも苦しむ自己分析など、様々な考え方は、この時代の前後で生み出され確立されたもののように思える。
それは、近年最大の売り手市場と呼ばれる今も、そのまま適用され続けている。
これは、既に「グローバル化がキャリアに与えるインパクト」にて書いているが、人の重要性が企業発展におけるクリティカルな部分となってきたからであろう。

しかし、不思議なのは、一生懸命、就職活動時に自己分析等を通して自分のブランド化を進めた結果、どうするかである。
ほとんどの人は、その結果を使ってブランド(人気)大企業に入り、自分以外のブランドに乗っかる事を目的としてしまっている人が多い。
わざわざ個人のブランドを引き上げようと努力してきたにも関わらず、である。

入社後のキャリアの中で、個人として成功するか否かは、結果的に、その自分ブランディングを追及し続けられるかどうかであるが、大抵のおいて、企業のブランドにおんぶに抱っこ状態となり、企業ブランドなしには何も出来ない、言葉は悪いが、いわゆる「社畜」へと成り下がっていく。
そして、昔ほど、企業ブランドが自身を担保するほどの力を失いつつある、という事も忘れてはならない。それは、既得権を持っているところ以外は、企業自体が全員を養うだけの収益性を、継続的に担保できなくなってきているところに大きな要因がある。

しかも、企業ブランドに頼るようになる事で恐ろしいのは、その事自体が自身にとって悪い事だという事すら、わからなくなっていく事だろう。
大企業で、企業ブランドへのプライドと狭い社内の論理だけで、中身の伴っていない人を、本当によく見かける。
大企業勤めのそういう人達をよく見かけるが、ある種、かわいそうにすら思えてしまう。
言葉は悪いかもしれないが、見事な飼われっぷりで、言う事はといえば会社の愚痴レベルの事しか言えず、入社時には、志もあっただろうに、今は改革改善とは距離を取り、自然と保身に動いてしまう。
その様子を見ていて、ゾッとしてしまう時すらあるのだ。

確かに最初は、企業と個人のブランド力のあまりの差に、本当にやっていけるのだろうか、と思うかもしれない。
しかし、これは日本の教育システムの問題でもあるが、入社するまで、ビジネスの世界で役に立つような学習をほとんどして来ず、決まった事を覚えて正確に繰り返す事だけを勉強させられてきたからである。それでは、直ぐに力を発揮しろ、と言っても無理な話であろう。
ようは、当然であり仕方がない、という事だ。

まず、最初から出来ない事に恐れてはいけない。そして、その差を埋めるべく、努力するのである。
それを為すには、相当な努力を要するのは確かだろう。
しかし、逆に言えば、努力すれば為せる可能性がある、という事でもある。
幸いにして、ビジネスは誰しもが、同じか近いところからスタートを切れる。努力のし甲斐があると言うものだ。

これからの時代は、個人の力がより問われる時代となる。
そうなれば、入社後も、自分ブランディングを行い続けなければならないのだ。
そうでなければ、本質的な自身の活躍は見込めないし、やりたい事も出来なくなってくるだろう。
会社の名前を使ってよりレバレッジをかけて仕事をするのではなく、会社の名前でしか仕事が出来ない人になって、会社なしでは生きていけない事になっていく。
そうなってしまったら、自分で道を選ぶ事など出来なくなるだろう。

就職はゴールではなく、単に自分が活躍するための舞台に上がるに過ぎない。
そう考えた時に、本当に人気企業に入る事が良いのか。
私から見れば、若干良い企業も入ってきたとはいえ、学生の人気上位企業に魅力はほとんど感じない。なぜなら、サービスが身近すぎて、入社後にやる事がかなり見えるし、他の人と同じように扱われ、生半可な努力では、新しい事などほとんどできないだろうからである。そして、あったとしても、実力が付く前から企画マンとして純粋培養される。
そんなところで、本当の実力を磨けるだろうか。
誰かが作った仕組みの中で、効率よく処理できるかどうかだけが問われ、それが企業文化を形成し、それを良しとする。個人の創造性を要求される仕事など、実質的にはほとんど存在しないのである(上司も同じくであるから、学ぶ相手も少なくなる)。

自己分析やキャリア・目標の棚卸は、何かと面倒かもしれない。
しかし、活躍している人達は、常日頃から、自らのキャリアときちんと向き合い、自身の方向性を見い出そうと努力し続け、5年後、10年後の姿を思い描いている。
例えば、転職するしないに関わらず、職務経歴書を仕事で成果を挙げる度に更新したり、外部のエージェントと会って市場価値を確認したり、年間目標を個人的に立てて達成に努力したりしている。そして、変わっても良いので、自分の将来像を常に持っているのである。
そして、バブル世代までは、就職時にそんな事すらやってこなかった(やる必要はあったのだが、やらなくても上手くいったので、やらず仕舞いになったのだ)。
今の人達は、大変であるというよりも、就職活動時にそれをやる経験が積めるだけ、ある意味、恵まれているのかもしれない。

せっかく良い機会を得たのだから、それを就職活動の一瞬に留めることなく、それからのキャリア人生35年の第一歩として欲しい。

最後にまとめよう。
就職活動における自己分析などの行動は、長いキャリアの中で、自分をブランド化する一歩に他ならない。
だが、企業のブランドにぶら下がったり、働き出してからも継続的に行わなければ、今後のキャリアにおいて、自分の価値を上げていく事は難しい。
就職先の選定も含め、自分ブランディングという観点を、将来に渡るキャリアプランニングに活かす事が、その解決方法である。

プロフェッショナルになるために、人気や安定性などの周囲の言葉に惑わされない事を祈る。キャリアを築くのは、自分自身なのだから。


◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates代表理事。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後ベンチャー企業に転進。経験を活かし、あらゆる改革・企画・管理業務を担い、業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革にあたる。
 
FRI公式ツイッター(筆者が主担当です)
筆者個人ブログ「清水知輝の視点 ~ビジネス・キャリア徒然草~」

 

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