グローバル化がキャリアに与えるインパクト

この10年間で、グローバル化が大きく進んだ。
それは、私達の生活だけでなく、ビジネスのあり方にも大きな影響を与えている。
その中でも影響が大きなものが三つある。
グローバル化が進んだ順に挙げると、物流・情報・金融、である。
今は、ある程度の先進国間であれば、世界のどこからでも、1日2日で物が届いてしまう。昔、日本においては、個人物流は存在すらしなかった。
情報も、ちょっと昔までは、国会図書館やMDBなどに足を運び、数多くの書物から引っ張ってくるしかなかったのが、その多くがデータベース化され、インターネットを通じて検索出来るようになっている。
そして、国が統括してた金融も、ファンドという一国家が管轄出来ない金融システムが発達し、持てる資金の最適配置(儲けるという意味合いでだが)という動きが加速している。
私自身がその差を実感できるくらいであるから、その動きと差は、非常に速くてインパクトも大きい。
では、それがなぜビジネスのあり方自体にまで影響を与えるのか。
企業の持つリソースでよく言われるのが「人・モノ・金・情報・時間」である。
物流システムの発達によりモノが、インターネットの定着により情報が、そして、ファンド金融の巨大化により金が、それぞれグローバル化し、個々の障壁を引き下げている。
すなわち、それらの格差により儲けていた、あるいは立場を堅持していたビジネスが価値を失い、新たな付加価値を提供できるものだけが、あらゆる領域で力を発揮できる環境に変わってきたのである。
そして、残っているのは、「人・時間」だけとなった。
つまり、人材の重要度とスピードが飛躍的に増しているということである。
これは、ここまで読めばわかるように、キャリアに対しても大きな意味合いを持つ。
すなわち、モノ(設備など)を持っている事、金を多く持つ事、情報を知っている(知識がある)事が、今後、差別化要因とはならなくなっていく、という事である。
すなわち、知っているかどうかが問われる資格業や、運用能力が低く手数料ビジネスでもっている金融機関、設備の効率化や秀でた技術を持たない重厚長大産業を中心とするメーカーなどは、同じ事を出来たとしても、その価値を減じていく事になるのだ。
それらの大きな地殻変動が何をもたらすのか。
細かな説明を省けば、付加価値を生み出せる人材が、労働市場において唯一価値を増加させられる、という事であろう。つまり、より「個」に対してフォーカスがあたる、という事でもある。
それらは、個として付加価値を創造できるプロフェッショナルであったり、組織として更に昇華させられるリーダー人材、という形で具現化されていくに違いない。
まさに、より純粋に個の力が問われ、それが反映される時代となるのである。
実際、既に労働市場が流動化した国の方が、労働分配率が高くなったとの調査結果もある。
これは、流動化による適材適所が進んだ事で、社内で死に体になってしまった人材が減った事に加え、流動化に耐えうるプロフェッショナルが増え、その高い市場価値により、結果的に分配率が高くなったという部分も大きいと想定される。
この変化を生かすも殺すも、これを読むあなた次第であると言えよう。
今から何を機軸にしていくかを考え直しても、まだ、十分に間に合うタイミングなのだから。
最後にまとめよう。
物流・情報・金融のグローバル化によって、企業の持つリソース「人・モノ・金・情報・時間」のうち、モノ・金・情報の障壁が低くなった。
結果的に、人・時間、が非常に重要になり、人の流動化が進んだ国では、結果的に企業が力を増し労働分配も高まっている。
今後、人、すなわち個人の力がより重視されるようになる。その力とは、単なる勉強が出来るというような力や論理的に考えられるだけという部分的な優秀さではなく、実際の事業を導き付加価値を増やせる力である。
是非、これらの力を身に付けられるよう目指して欲しい。
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◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates代表理事。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後ベンチャー企業に転進。経験を活かし、あらゆる改革・企画・管理業務を担い、業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革にあたる。
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