仕事は対応を後回しにするほど、業務量が増える ~仕事がはやい人の法則~

1つの仕事が遅い人は、大抵、全ての仕事においても遅い。
同じ仕事量でも、なぜかかかる時間が全く違う。
これは、単に仕事をこなすスピードが遅いだけかと思っていたが、最近、それだけでもないように感じるようになった。
『仕事が「はやい人」と「おそい人」の違い』を述べたが、最近は、それに加えて、意思決定を後回しにする人は、それだけで、自ら仕事を増やして、自分の首を自分で締めている、という事に気が付いた。
私は理事長としてNPOの様々な意思決定を、仕事をやりながらこなしているのだが、対応がとにかく「遅い!」と感じることが多々あるし、それによって、無駄な業務がかなり生み出されているように思える。
もちろん、これは通常の仕事でもそうである。
私が携わってきた改革の大半は、上位者がダラダラと意思決定をしないが故に、課題が問題へと大きくなり、解決しなければどうしようもないまで熟成した結果、その解決に多大な労力をかけなければいけないケースばかりである。
そもそも、「仕事に優先順位を付けられない(付けても間違っている)」「対応すべき範囲が不適切」というところがあるのだが、特に上位者になればなるほど、方針決定が遅れると、その方針に沿って業務を進める人達の作業が分散し、結果的にムダになるばかりか、後から決めた方針によって駄目になってしまったことについて、「なぜ駄目なのか」を説明しなければならず、その説明自体も間違っていないかを、方針決定レベルで確認を取らなければならない。
つまり、自らの意思決定と説明が遅れた結果、ムダな仕事を生み出しているという事だ。
ムダな仕事を生み出せば、当然、その分、成果に結びつかない事に時間を費やすわけで、一生懸命やってはいるが「仕事が遅い」ということになる。
もっと分かりやすい例で説明しよう。
例えば、お客様とアポを取る際、どのように依頼をしているだろうか。
仕事が遅い人は、大抵、「私が駄目なのは、○日の午後と○日の午前です。それ以外で決めていただければ合わせます」とか、「言って貰えれば、極力調整します」などと言ってくる。
一見、相手に親切そうだが、実は、結果的に迷惑がかかる事が多い。連絡をした後に、他の外せない用事が出来て、返事が来ても被ってしまったり、他に調整が必要な用事が複数あると、重要なものから順に決めなくては、返事を貰ったとしても他のものが決められなかったり、調整しきれずアポに間に合わなかったりする。相手にとっては、迷惑以外の何者でもない。
仕事がはやい人がどうするかと言えば、「以下の日程からお選びください」と確実に都合を付けられる日程を3つ4つ提示して、相手に選ばせるというものだ。
これなら、複数の約束があっても、それぞれ被らないように枠を設定して、一斉に調整をかけられるし、返事が来た瞬間に確定できる。また、確定さえすれば、新たに話が来ても、決まったことで調整枠が空くわけなので、調整はどんどんしやすくなる。前後の移動時間を考えて日程枠を提示すれば、遅れる事も基本的にない。
ある意味、日程調整を始めた瞬間に、その仕事は終わっているのである。
このようにすれば、スムーズに意思決定(日程決定)が行えるし、ムダがほとんど発生しない。移動時間や空いた枠で仕事を片付ければ、自分の時間も有効に活用できる。社内の打ち合わせも、事前に枠を少しとっておけば、それもしっかりと行える。
一見、強引なようにも見えるが、相手に選択の余地を与えているし、その範囲内では迷惑をかけていないわけだから、結果的には非常にスムーズにことが運ぶ。私なら、そちらの方がよっぽど仕事がやりやすい。「やる事は無限にあるのに時間が有限」というのが忙しい人間の基本的感覚だからだ。
意思決定の大半を相手に預けるような事や自身の意思決定やその伝達自体が遅れると、確認・調整などの面倒な仕事がどんどん増えるし、相手に待ってもらうというムダな時間を発生させてしまう。
自らの意思決定の遅さが、どれだけ回りに迷惑を与えているのか、よくよく考えて貰いたいし、それによって、自らの手で自らの仕事を増やしていることに気が付いて貰いたい。「仕事がたまってるんですよね」と苦笑いする暇があれば、その瞬間に、一件でも良いから意思決定を行って進めれば良い。
私は、極論を言えば、出来る限りその場で片付けることが、仕事をはやくする方法だと考えている。
なぜなら、人が常に考えられる数には限りがある(それも片手程度だ)以上、それ以上の仕事を抱えるのは無意味だし、重要な意思決定は、常にやってくるものだからだ。
時間が有り余っていると思っている人はそれでも良いが、仕事ばかり増えてなかなか進まない、と思う人は、まず、自らの仕事のやり方を見つめ直して貰えればと思う。きっと、多くのヒントがそこにあるはずだから。
より詳しく知りたい方はこちらへ(本稿は、個人ブログより転載)
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◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates 理事長。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけたが、自身の仕事の関わり方に疑問を感じ、ベンチャー企業に転職。経験を活かし、経営・事業・商品・営業等の企画業務、ライン管理職、各種改革関連業務を担い、徹底した現場主義により業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングにも責任者として従事。業界特性を考慮した実践的なアプローチにより実績多数。その後、IT・ライフサイエンス領域の投資育成企業にて子会社の事業企画や経営改革、大手メーカーの機構改革などにあたった後、地元関西に戻り、計測機器メーカーにて、経営企画担当の上席執行役員として、各種改革業務および主要事業のマーケティング、事業開発などを推進する。
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