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仕事が「はやい人」と「おそい人」の違いとは

2007年7月28日 by 理事長 清水 知輝   

理事長 清水 知輝

最近、どちらかと言うと、自分で仕事をするよりも、誰かに仕事をして貰う方が多くなってきた。そこで、仕事をして貰って感じるのは、たとえ出来上がるクオリティを考慮に入れても、仕事が「はやい人」と「おそい人」に、はっきり分かれるのではないか、と言うことだ。
そこで、その差を生み出す要因について、気付いた事についてまとめてみたい。


仕事の速さについては、明らかに差が出る。これは、注視していなくともハッキリわかるくらいの大きな差だ。
だが、それは、作業自体の速さや手際の良さ、というわかりやすい部分に起因する差よりも、「仕事の進め方」に起因する差の方が大きい。
特に、単純作業ではなく、付加価値を生み出すような業務になればなるほど、この進め方による影響度合いは高くなる。つまり、産業構造の変化によって、これらのポイントの重要度が今後も増し続けるという事だし、それらが出来なければ、高い評価を得る事がどんどんと難しくなるという事だ。


何人も見てきたところ、経験上、「仕事がおそい人」は、共通点が見られ、大抵、以下の3パターンのどれかか、もしくは全てに当てはまる事がわかってきた。そして、多くの場合、1つ当てはまると、なぜか他の2つもあてはまってしまう事が多い。


(1) 考えても無駄な事を考える
(2) 手戻りが多い
(3) 正解を探す


これら3つのパターンのそれぞれについて、簡単に述べていきたい。


【考えても無駄な事を考える】


結果的に口だけに終わる、つまり、仕事に着手すらしないタイプに多い。下手な言い訳を一生懸命してしまう人も、ここに当てはまる事が多いので、注意が必要だ。
このタイプは、性質の悪い心配性のようなもので、「こう考えてみたもののお客さんに評価されなかったらどうしよう」とか「○○部長に言ってOKが貰えなかったらどうしよう」とか「調べてみてデータがなかったらどうしよう」等と、行動してみる前から、あらゆるリスクを想定し、それらを全て解決するまで動けないと思い込んでいる。


「石橋を叩いて渡らない」とか「石橋を叩きすぎて橋を壊す」などと言う笑い話があるが、官僚化した大企業に多く見られると感じる。逆にベンチャーなどでは、『「ベンチャー企業」か「大企業」か』にもあるように、良いか悪いかは別として、あまり考える暇がないため、こういったケースはそれ程多くは見られない。
こういう大企業では、経営層が何か言っても、聞こえてくるのは言い訳ばかりで、仕舞いには「うちの経営陣は指導力がない」などと言い始める始末。結果的に、何も物事が進まず、規模に関係なく、動きの早い競合に負けたりする。


こういうタイプは、最も「仕事がわかっていない」と言われるので、注意した方が良いが、ようは、「コントロール可能」か「コントロール不可能」か、もしくは、「リーチ可能」か「リーチ不可能」か、という区分けが出来ていないのだ。
そもそも自分がどれだけ頑張っても、それに対して影響を与える事が出来なければ、考えるだけ無駄である。
明日の天気予報を見て、「普通の傘にする」か「折畳み傘にする」かを考える事は出来ても、「雨が降らないようにするにはどうするか」などと考えても、そもそもそんな事は不可能であり、無意味である。


しかし、こと仕事になると、なぜかこういう事を考え始める人が多い。
自惚れているのか、自信が無さ過ぎるのかのどちらかだろうが、例えば、人の評価などは直接聞いてみなければわからない。
よく駄目営業でいるのが、コンペ等で「あの提案はどうだったのか」と提出後に悩み続けているタイプである。
私なら、悩むくらいなら直ぐにでも、担当者に電話して「ご評価はいかがですか」と聞いてみる。粘ってみて教えて貰えなければ、それ以上考えても無駄であるから、他の案件について時間を割くだろう。


そして、仕事の遅い人は、こうして考えるだけ無駄な事に頭や心を悩ませる事になり、その時間がどんどんと積みあがってくる。こういうタイプは、えてして、ホウレンソウもきちんと出来ないから、上司からの評価も低い。


考える価値がそもそもあるのか、という事を、悩む前に是非考えて貰いたい。価値がない仕事に時間を費やせば費やすほど、自身の付加価値は落ちていくのである。


【手戻りが多い】


「考えても無駄な事を考える」タイプに加え、何も考えずに「とにかくやれば良い」というタイプに多い。
大まかには二種類の要因があり、1つは、とにかく動け、とやり始めたは良いが、進めていく途中で、「どこに向かって走ってるんだっけ?」とわからなくなる思慮が足りないパターンと、今度は逆に、実行し始めた途端、自分の決めたゴールに不安を感じ、「やっぱり最初に決めたものを考え直そう」と軌道修正をし始める心配性のパターンとがある。


ともに共通しているのは、「これで行く」と自分なりに確固としたゴールを設定できない、あるいは、しない、というところであろう。
このタイプは、「上司がゴールを決めないのが悪い」と意思決定から逃げて、その責任を上司などに転嫁したがる。要は、意思決定する力と自信がないのと、結果が出なかった時にそれを受け入れる度量がないのである。
大企業でプライドだけが高い人や、仕事の発想スケールが小さい(成果の尺度が短くて目の前の成果しか見えない)人に多いようだ。
大企業の企画部で、延々と分析ばかりを繰り返し、何ら実行フェーズに行かないタイプも、実はこのタイプであることが多い。他には、分析系の仕事に就きたがる人も、ここの類型に属する場合が多い。気を付けた方が良いだろう。


ここに当てはまる人達へのアドバイスは、1つだけである。
まずは、ゴールをしっかりと決め、とにかくその達成に執念を燃やしてみる、ということだ。
数値の本質を読む力」でも触れたように、ストーリーだてた仮説、というものを、まずしっかりと持つ事である。
これで、成果が上手く出ず、もし、失敗と言われたとしても、それをきちんと受け止め、次に繋げれば良い。そうすれば、その次は、より上手く出来るようになるし、手戻りばかりで何もしないよりも、まだ少しの成果が出るだけ評価を得られる。
失敗を恐れていては始まらないし、ゴールが決まってなければ、そもそも成功も失敗もわからないのである。
そして、失敗を恐れる元となる不要なプライドは捨てて、成長のための第一歩と受け止め、言い訳をしない事であろう。


人に頼って責任を負う覚悟がなければ、自分の仕事の幅は広がらなくて当然であり、その結果、自らの評価が高まらないのは仕方のない事かもしれない。
手戻りが多い人は、今すぐにでも、自身の関わり方を考えるべきだろう。


【正解を探す】


最後は、とにかく1つ1つの仕事に時間がかかるタイプである。
これは、そもそも仕事自体を履き違えているタイプに多い。比較的、高学歴者の比率が高いようだ。『「勉強」と「仕事」の大きな違い』でも触れたように、仕事をそれまでの受験勉強などの延長と、誤って捉えてしまうからなのかもしれない。
顧客に価値提供をし、その対価を得るのが「仕事」の本質である。しかし、この正解を求めるというのは、「勉強」であっても「仕事」ではない。
正解を求めるのは、顧客のためではなく、自分のためであり、ある種、自己満足である。


「仕事」とは、顧客が本質的に必要としている事を提供するためであり、こういうと極論かもしれないが、正解かどうかは問われないし、そもそも、最近は、正解など最初からわからない事の方が多い。
特に、これからより求められていく付加価値的な「仕事」とは、正解を見つけるのではなく、正解を作り上げるものであるからだ。正解を探して見つかるのであれば、そもそも誰かに頼んだりもしないだろう。式を作って、パソコンにでも処理させれば良いのだ。


このタイプは、まず「顧客視点」を持ち、「顧客志向」とは何かを考える事である。
仕事は自己満足でやるものではない。顧客に価値を提供し、それが評価されて、初めて仕事をしていると言える。その本質を理解できれば、「勉強」では済まされない事は、直ぐにでもわかるはずだ。
常に、自らの作業が、顧客に対して付加価値を提供できているのか。その視点で自らの作業を自身で評価し続ける事が、このタイプでの有効な打ち手であろう。


最後にまとめよう。
仕事がおそい人は、「考えても無駄な事を考える」「手戻りが多い」「正解を探す」という特性を持つ。
仕事を速めるためには、これらの3つのパターンに陥っていないか、常に注意を払い、最適な成果を出すために、適切な範囲で適切な方法をとって、徹底した顧客志向を持つ事である。
それらの仕事の進め方を意識した後は、経験を積んでいく事で、加速度的に仕事のはやさを速める事が可能となるのである。
そうなれば、高い評価は自然とついてくるであろう。


◆筆者紹介
FRI&Associatesの草創期メンバーで、現在NPO法人FRI&Associates代表理事。
外資系コンサルティングファームにて、事業戦略、業務改革、IT導入などを手がけ、その後ベンチャー企業に転進。経験を活かし、あらゆる改革・企画・管理業務を担い、業績拡大を支えつつ、多数の業界大手企業のマーケティングコンサルティングに従事する。実践的なアプローチにより実績多数。
現在はIT系投資育成企業にて、子会社の事業企画や経営改革にあたる。
 
FRI公式ツイッター(筆者が主担当です)
筆者個人ブログ「清水知輝の視点 ~ビジネス・キャリア徒然草~」

 

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この記事へのコメント (6件)

疑問に思ったことがあるのでコメントさせていただきます。
私は上に述べてあるとおり、③正解を求めるタイプです。ですから決して仕事が速いほうではないと自覚しています。もちろんビジネスに正解はないとはわかっていますが、しかし「より確からしい答え」を求めることは、顧客満足に通じているのではないのでしょうか?あまり確かではないが速く出てきたものと、より確からしいがその分時間がかかったもの、ではどちらにより価値があるのでしょうか?

時間を掛けて、より確からしいものを用意しても、顧客の満足は得られません。
しかし、質問の答えとしては、「どちらでもない」になります。
つまり、速ければ良い、という訳でもなく、より確からしければ良い、という訳でもないのです。どちらが良いか、という議論をしていては、高い価値提供は難しいとも言えます。
顧客が満足しうる、あるいは、満足するレベルをやや超えるところを、顧客が想定する以上の速さで提供する事こそ、顧客満足を得られる唯一の方法です。
仕事が出来る人は、ここのバランス感覚が非常に高い人が多いです。そのためには、ベースとして、相手のニーズを本質的に理解すると共に、仮説思考による徹底した絞り込みを行えなければなりません。
もし、syotaroさんが③のタイプとお感じなら、「顧客ニーズを掴む」事と、より速く解に至る方法について、集中的に高める努力をすれば、顧客満足を飛躍的に高める事が出来ると思います。

私は、「(1) 考えても無駄な事を考える」に該当すると思います。そこでなぜ、自分がそういう風に考えてしまうのか?考えてみたのですが、基本的には、そういう考え方の癖みたいなものがあると思います。その原因は、やり直しの出来ない対話の中で育った事にあると思いました。つまり、一度ミスをしてしまうとやり直しが出来ない状況に陥ると、失敗が出来ない。だから、子供の頃から、100%確実な事しかしない or 考えないという状況が生まれる。この原因から考えると、やり直しが出来るという事を自覚し、その上で、100%を求めず、実用レベルの70%程度の基準で発想し行動する訓練が必要だと感じました。(要するに100%の解がない限り、全ての行動がコントロール不可に陥る)
 
例えて言うならば、普通の人は、道を歩く時に、ただ前を見て歩けばいい。しかし、私のような人間は、地雷源はないか調べながら、這いながら前進する。だから、とても遅い。地雷原を探すのは、それを踏んでしまうと、そこで全てが終わってしまうからです。事なかれ主義の家族の中で生きていると、問題が生じた時、二度目のチャンスがありません。黙らされて終わりです。これを子供の頃から繰り返していく内に、そういう思考の癖がついてしまったものと考えられます。
 
しかし、それは仕事とは何の関係もなく、ただ、私がそういう家族の中で育ったというだけで、顧客にとっては迷惑以外の何ものでもない。ただ、原因と考えられる要素から、対処法を導くのには価値があると思いコメントした次第です。
 

日本の教育や常識は、gariさんの書かれるように、0か100か、という面が非常に強く、同じような癖を持っている人は比較的多いと思います。それは、プラス面では責任感として現れますが、マイナス面では傍観者や評論家を生み出す要因にもなってしまいます。
ですから、「ご自身の癖を理解する」というのは、とても重要なことだと思います。私も癖や偏りだらけの人間ですが、それをある程度は自覚しているので、もろに成果に影響を与えてしまうことは防げていますし、そういう人たちがたくさんいると思えば、少しは気楽にやれるものです。
100%の呪縛を解き、「とりあえず手を挙げてみる」ことを小さな事からでも始めてみると、案外、大変だけどそちらの方が楽しい事に気づかされるかもしれません。私もそうでしたので。
コメントありがとうございました。

接客のバイトをしていて、最近自分の仕事の遅さ
飲み込みの遅さに真剣に悩み始め、ここにたどり着きました。私は全て当てはまっていると思います。取り越し苦労をする、考えすぎる、プライドが高く、失敗を恐れる、長い尺度での成果を考えられない、、、。今日、社会人になる前に
これを読み、気づくことができ、本当に良かったです。

コメントありがとうございました。
私も今でもそうですが、「下手の考え休むに似たり」で、何事も経験して学ぶことが大半だなと思いますし、失敗するくらい挑戦的でないと学びも少ないのではないでしょうか。
是非、気づきを大切に、実際に行動してみてください。徐々に変わっていく自分を実感できると思います。

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